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日本の怪獣

(C)芳賀ライブラリー

海に浮かぶ巨大な鯛

豊浜鯛まつり

愛知県知多郡南知多町 7月中旬 

*平成17年は7/23-24

 若者たちが海の幸が豊かになるようにと願って大きな鯛を作り、伊勢湾に浮かべる。鯛の大きさは約20メートル、木組みの枠に木綿の布200反を張りめぐらして作ったもの。それを200人の若者がかついで海に浮かせ、泳いで湾内をめぐる。鯛は波に揺られながら、しずしず進んでいく。夕方に鯛が浜に引きあげられると胴体の中に灯りがともる。

突撃してくる牛鬼

宇和津彦神社秋祭

愛媛県宇和島市 10月29日

 まっ赤な胴体の上にキリンのように長い首が突き出て頭には鋭い2本の角を突き立てている。髪の毛を振り乱し、口を大きくあけた顔つきで町中を猛進してくる。そのまわりには青く太い竹笛を吹きならす少年たち。その笛はブーヤレとよばれ、笛の音は牛鬼のうなり声だといわれる。戸口のあいている商店があると牛鬼は勇ましく首を店の奥まで突っ込んでいく。ブーヤレの音がいっそう高く鳴り響く。すると店の人は「牛鬼が悪魔払いにきてくれた」といって喜ぶ。

首がのびる大入道

大四日市まつり

三重県四日市市 8月第1日曜日を含む土日

 ろくろ首の大入道があらわれるのは大四日市祭りの最後の日である。背の高さ9mもある大入道が台車にひかれて市内をめぐっている。四辻まで来ると肩から首がするすると伸びていく。びっくりして見とれていると生首が突き出てきて曲がり、大きな目玉をむく。そこでアッカンベーをして長い舌をぺろりと出す。四日市の祭りで一番の人気者だ。昔この町の草むらには子供たちにいたずらをする狸がいたので、懲らしめのために町の人形師が大入道の人形を作って引きまわしたといわれている。

*平成17年は大入道は登場しません

大伊勢海老

伊勢海老祭り

三重県志摩郡志摩市 6月第1土曜

 伊勢海老のよくとれる海辺で、志摩半島の海女さんたちが集まって伊勢海老祭りをする。大きな作り物の伊勢海老を舞台にのせて、はじめに神主さんが祝詞をよみ、海の幸を讃え、また海女さんが海難にあわないようにと祈る。保育園の子供たちも豊漁の歌をうたい、子供じゃこっぺ踊りをする。最後に海女さんたちが伊勢海老を渚まで運び、海の波にのせてやる。そして海の神に祈りを捧げる。

 

龍(じゃ)

長崎くんち

長崎県長崎市 10月7-9日

 長崎市民が「おくんち」とよぶ秋祭りに龍の踊りがでる。雄の青龍と雌の白龍が諏訪神社の石段を駆けおりてきて、玉使いの捧げる黄金の玉を追いながら空中を泳ぐように動きまわる。それぞれの龍には10人の龍使いがいて、先頭の者は杖で龍の頭を振りまわし、次の者は胴体をくねらせ、後の者は尾を空に突き上げる。龍は海や川から空中に駆けのぼる霊獣といわれ、長崎のおくんちのなかでは特に龍(じゃ)踊と呼ばれ人気がある。

巨大な鯱(しゃち)

唐津くんち

佐賀県唐津市 11月2-4日

 鯱は大きな鯨の体に食いつくほど勇ましい海獣だ。文字通りに海中の虎である。その鯱の作り物を「唐津くんち」の祭りの日は曳山の上にのせて引きまわす。鯱はお城の天守閣の飾りにつけられていて、唐津の城下町の悪魔払いをしてくれるのである。唐津くんちにはこのほか赤獅子の頭や兜などの曳山が14台もあり、祭りの日には太縄で元気良く引きまわされている。いずれも木枠の上に何百枚も和紙を張りあわせ最後にうるしを塗ってかためた一貫張りという江戸時代からの作り方を今でも守っている。

水沫をあげる亀蛇(きだ)

妙見祭

熊本県八代市 11月22-23日


 妙見という神さまが八代市にあらわれた時は海上を亀蛇に乗ってやってきたといわれる。それで、今でも八代神社の祭りには首から上は蛇、胴体には大きな甲羅のついている亀の怪獣があらわれる。亀蛇は若者にかつがれて市中をめぐっているうちに、最後に河原から川の中へ飛び込む。水沫をあげて走りまわると見物人からいっせいに歓声があがる。

とびはねる猛牛

市来の七夕

鹿児島県日置郡市来町 8月5-11日の間の日曜日

 月遅れの8月7日の七夕の日に、作り物の巨大な牛が河原で大あばれをする。牛は元気良く跳ねながらやってくる。半円形の顔に金銀の目玉に2本の角をつけている。胴の長さは10mくらいもあり、体のまわりには野ブドウの房をつけている。胴の中には中学生が20人も入っている。時々後ろ足で跳ねあがると、胴体が飛びあがる。その時、野ブドウの房が大きくざわざわと音を立てる。この日は牛ばかりではない。虎や鹿の作り物も集まってくる。炎天の日に若者たちが元気を出して、夏に負けずに体を鍛えるのだ。

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