ヨーロッパの民族衣装 ヨーロッパでは18世紀から19世紀にかけて各地でおこった民族独立運動によって、それまで自由なデザインが許されなかった農民の服装に、各々の民族の歴史と先祖から受け継いだアイディンティティが織り込まれ、復活・発展してきました。その民族衣装の美しさは人々の誇りとして祭りなどのハレの日に着用されます。 (写真をクリックすると色々な写真が表示されます)
ヨーロッパ北部 北極圏内にあるラップランドは、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドにまたがりサーミと呼ばれる先住民族が暮らしており、彼らの衣装にはサーミの色である青・赤・黄色が基本色として使われています。バルト海に面したラトビアやリトアニアの女性はロングスカートがエレガントです。ブリテン島北部のスコットランドの伝統衣装はキルトで、タータン・チェックの織物をスカート状に巻いたものです。
ヨーロッパ西部 オランダは地域によって女性の頭飾りに特徴があります。金属のヘルメット状のものをすっぽりと被り、その上をレースで覆ったものや、その形からフグを意味する名前のついたものなど多様です。また、国土が低地湿地にあるため木靴をはく習慣もあります。ドイツ南部やチロル地方では男性はレーダーホーゼン、女性はディアンドルが定番です。グリム童話で知られるメルヘン街道には赤頭巾ちゃんの服装が今も見られます。 フランス(ヨーロッパ西部) 地域による特徴が際立つフランス。特にコアフと呼ばれる女性の頭飾りは、ブルターニュ地方や、アルザス地方など、地域によって様々です。プロヴァンス地方の人々は、植物や虫など細かい模様のプロヴァンス・プリントを使ったシャツやスカートなどお洒落に着こなします。 ヨーロッパ南部 地中海やアドリア海に面した国々で、クロアチアなど歴史に翻弄されてきた国の民族衣装は緻密な刺繍といった周辺国との類似も見られます。また、最南端のギリシャではバルカン諸国とトルコの要素も混じり、その姿はエーゲ海のクレタ島などで見られます。 スペイン(ヨーロッパ南部) スペインにも各地域を代表する民族衣装がありますが、形や材質は違っても長いフリンジのついたショールを肩にかけることは共通しています。また、髪の毛はアップにして、ヘアアクセサリーで飾られます。 サルデーニャ島(ヨーロッパ南部・イタリア) 地中海の要衝にあるため、色々な国に統治されてきたサルデーニャ島は村や町による独自の民族衣装があることで有名です。レースや刺繍、アクセサリーなど女性の衣装はどれも意匠が凝らされています。
ヨーロッパ東部-1(チェコ、スロバキア、ハンガリー、ポーランド) ヨーロッパにおいて特に華美な民族衣装がチェコのモラヴィア地方です。ブラウスやベスト、エプロンやスカート、スカーフに至るまで花の刺繍がふんだんに施され、オープンワークなどの技術も卓越しています。男女ともに手の込んだ民族衣装です。
ヨーロッパ東部-2(ブルガリア、ルーマニア、ウクライナ、ロシア) ブルガリアはバラの国、バラの谷を中心とした地域にはバラの花が刺繍され、女性の美しさを引き立てています。丈の長い下着の裾に刺繍を施し、あえてその部分を見せるという工夫もされています。
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