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世界の住居

(C)芳賀ライブラリー

韓国 水原 オンドル(床暖房)の民家

冬の寒さの厳しい朝鮮半島に普及している伝統的な床下暖房をオンドルという。台所で煮炊きした際の蒸気や余熱を床下に流して部屋全体を暖める。かつては薪やわらを燃料としたが、現在は温水暖房が一般的。オンドルの家は出入口を極力小さくするなど、寒冷な冬の気候に対する閉鎖的な造りが特徴。腰が痛いときには床に横たわって痛みをやわらげたり、温かいのでスリッパを履く必要もない。

モンゴル 南ゴビ砂漠 ゲル

家畜を草原に遊牧して生活する遊牧民の移動式の家。家畜が食べる草がなくなると住
む場所を移動する。2本の中心の柱で支えた木の骨組みの上に、羊などの家畜の毛で
作ったフェルトを包み、白い布で覆っている。中央にかまどが置かれ、煙を出すため
の天井は開閉式になっている。寒さが厳しい時には屋根のフェルトを二重にする。

   

     

中国 貴州省 苗(ミャオ)族の石造りの家

 苗族の村には石造りの家が並んでいる。鍾乳洞の多いこの一帯はカルスト地形といい、炭酸カルシウムを含んだ石灰岩から成す岩を建築資材として使っている。白っぽい石灰岩の平らな面を上にして積みあげる。

中国 福建省 客家(ハッカ)の土楼

湿度の低い福建(ふっけん)では、土楼は丈夫な土壁で作られていて300年も保たれ
ている。客家とは12、3世紀に黄河流域から福建に移ってきた人びとのこと。外敵か
ら守るため外側を土楼ででおおい、外部から侵入しにくい巨大な集合住宅。4階建て
で4層からなる内部には数百人の人々が暮らしている。一つの円楼には同族姓の一族
だけが住み、他姓や客家以外は居住できない。

   

   

フィリピン ミンダナオ島 木の上の家

フィリピン南部には樹上家屋が多く存在していた。敵部族の攻撃をいち早く見つける、
毒蛇、獣から身を守る、湿気を防ぎ涼しい空間を持つなどの目的があった。木の成長
にあわせて家を建て直すことが必要だった。現在では部族の会議室や夕涼みのための
場所として使用されている。

マレーシア サバ 水上家屋

昔から海上で漁師の生活をするボルネオ島サバ州の人々にとって、家は海の近くにあ
ることが便利だった。現在でもウォータービジレッジには水上家屋がひしめきあって
建っている。水上家屋は海に柱を建てて高床式の家を建てる。柱は塩水に強いマング
ローブ(熱帯森林)の木を使う。ボルネオ地方に水上家屋が多いのは、マングローブ
が発達しているからだ。水上家屋には住所も戸籍もある。

   

   

タイ 北部 赤ラフ族の高床式住居

人口約5千人の赤ラフ族は標高1000mの高地斜面に集落をつくる。高さ約2mの高床の下には牛、豚、鶏などが飼われている。 家の内部は木の板が交差上に並んでいる。

モロッコ メルズーガ サハラ砂漠 ベルベル族の日干レンガの家

モロッコ南部に行くと日干しレンガで作られた家が並ぶ。粘土層の土に水を含ませて型に入れると簡単にレンガができあがりそれを太陽の下で干す。その日干しレンガを粘土ではりつけて積みあげる。その上を泥で塗り固める。昼夜の激しい気温差をやわらげ、屋内の温度を一定に保つ効果がある。地震に弱く被害が大きい。

   

  

エチオピア オモ渓谷 アヌアク族のわらぶきの家

アヌアク族はエチオピアのオモ渓谷北西部に住んでいる。アヌアク族は家族ごとにいくつかの家を建てて、それが集まり部落をつくっている。 家の敷地の真ん中では女性がトウモロコシを挽き粉にして、アヌアク族の主食のお粥をつくる。

エリトリア アファル族 
ノマド(遊牧民)の移動式住居

アファル族はエリトリア高地のリフト渓谷に住んでいる遊牧民。ブラ(Bulla)と呼ばれる小さい移動式住居はドーム型で一つか二つの藁で編んだ屋根を持つ。この住居は移動に適している。

       

イエメン サヌア 旧市街

1930年に立てられたこのダール・アル・ハジャルは岩の宮殿という意味で、日干しレ
ンガを積み上げて作られた高層住宅。レンガの茶色と窓縁に塗られた漆喰の白が特徴。
イエメンの重要な建築材である土と泥と藁くずで造った日干しレンガは、500年も保
つことができる。

南アフリカ ンデベレ族 花嫁の家の玄関

ンデベレ族女性は独特のカラフルな幾何学模様を水性のペンキで家の壁に描く。この壁絵は彼女らが見たものから発想して描いたもので、母から娘へと代々その模様が引き継がれていく。女性たちの美に対する感覚は独特で鋭く、彼女らの民族衣装もカラフルなビーズで飾られている。

   

   

ペルー チチカカ湖 
ウロス族(ウルス族)の葦の家

標高4000mにあるチチカカ湖は大小50近くの葦でつくられた浮島がある。そこには約2000人のウロス族が住んで漁業や観光で生計をたてている。 島の地面も舟も家もすべて自生の葦(トトラ)で作られている。古い葦は腐るので、数ヶ月ごとに地面に葦を積み重ねなければならない。元は約500年前にインカ帝国を征服したスペイン軍隊から逃げて、湖に住居をつくったという。

カナダ アルバータ 
インディアンのティピー

ティーピーとは北米の平原で狩猟をする先住民族ネイティブ・インディアンの移動式
円錐形住宅。移動の際は支柱を馬などに結びつけて引きずって運んだ。大きさは3.5
〜5.5メートルほどで、中で火を焚くために煙出し口を持っている。幕はバッファロー
や鹿の皮を鞣したものが多い。白人との交易が始まってからはキャンバス布が使われ
るようになった。現在では常住する人はほとんどなく、祭りの時などにたてる。

  

  

ドイツ ラインラント・ブファルツ 木組の家

ドイツには木組みの家が多く、木組の家の壁にはレンガを使いその上から塗装をすると丈夫になり長持ちするので数百年も保存できる家も多い。木組みは家の構造を平面の壁ではなく、柱で支えるので開口部の窓が多く作れる。

ギリシア サントリーニ島 白い家々

島の入口は断崖で絶壁に白い家々が貼りついたように並んでいる。島は三日月型でかつては火山島だった。紀元前1550年に火山の爆発により島の中央の火山が一部を吹き飛ばして現在の形になった。

   

   

スペイン アンダルシア クエバ(地中の家)

スペイン南部のアンダルシアは夏には日中40度を超すことがあるほど暑い。クエバは 地下にある横穴式洞窟住宅で 夏は涼しく冬は暖かい。

フィランド ロヴァニエミ 
サーメ(ラップ人)の家

サーメは遊牧民で夏と冬と住居を変える。フィンランド北部で暮らすサーメの冬の住居は、木と土で作られている。家の中で火を焚き寒さをしのぐ。夏は移動式のアメリカインディアンのティピのような家に住む。

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